【感想】ひとひら 4巻(コミック) 


hitohira(4).jpgひとひら  4

桐原いづみ/双葉社
2007/06/12
★★★★★

先輩たちが卒業し、親友が留学し、麦はしっかりやっていけるんでしょーか?
とりあえず新章へってカンジです

桐原いづみ先生のHP「ECLIPSE」
→過去作品ショコラ~maid cafe“curio”


【注意】
以下、ネタバレい~っぱい含みます。それイヤっ!て人は、緑の字のとこだけ読んでもらえると大丈夫です(2箇所あります)。ちゅうか、ネタバレなく感想書ける人はすごいと思います

第23幕 友達だから

留学の告白から、ぎくしゃくしている佳代と麦。お互いが自分を責めている状況のなか、2人の仲立ちをするのはやはり友達の彼と彼女であった。2人は屋上でゆっくり話すことになって…

内気な自分にとって、自由闊達な佳代ちゃんの笑顔はとてもまぶしく輝いている。その輝きをずっと眺めていたい、浴びていたいと思うのは当然。しかし、それができなくなった。遠くに行くことを応援したいのに、輝きを失うことが辛すぎるという、なんとも悲しい心情だと思います

第24幕 出会えてよかった

先輩たちの卒業式…にも関わらず、麦のヤツ、なんて不真面目なっ!(プンスカ って、あ、ああ、練習か。

とまあ、見事にトラップに引っ掛かったわけなんだが(注意深く読んでると引っ掛かるw)。卒業式前日、それぞれ思うところがあるわけで、それぞれ思い出の場所で、いろんなことやってます。終わりよければすべてよしっていうか、卒業式で、この学校に来てよかったとか、この部活でよかったと思うことができれば、まずは幸せな高校生活だったんだろうな。一人で先にお決まりの儀式をやっていた野乃の性格がよく現れていてよかった。

23幕で佳代との関係、24幕で先輩との関係について、一応の感情の整理がなされたカンジです。

■第1部 完■

ほい。ここで「第一部 完」てことなんでしょうね。次の話から、いよいよ麦は2年生になる。改めて言うまでもないことだが、この作品のテーマって、主人公の羽ばたきっていうか自律っていうかアイデンティティのなんたらっていうか、そんな感じだろう。で、そこに注目して、麦の周りの環境の変化を見ると、これはなかなか影響デカそう。てゆーか前途多難?

まず、ある意味「上の」目線から、暖かなまなざしで見守ってきた、野乃先輩をはじめとする研究会の先輩たちと、カメ娘の佳代がフェード・アウト。去年1年で大きく進歩した麦だが、やはりそれは周囲に守られ、支えられてのことだった。今年はそんな存在がなくなる。甲斐やちとせも、素晴らしい友達ではあるんだが、そういうのとはまたちょっと別の存在だと思う。内気で消極的で受動的な麦の背中を、やさしく上手に押してあげる人がいなくなった。そんな状況で、いったい麦はどのようにして演劇の道へと進むのだろうか。

ここでご登場を願うのが、そう、いわゆる「運命の神様」ってやつですね。積極的な主人公だと勝手にどんどん目的に向かって進んでくれるんだが、麦はそーいうのとは正反対。自分からは行動しない(行動したいんだけどできない)。だから、ここはゴッド・オブ・フェイトさんが、麦を演劇へといざなうのです。

んで、演出上重要なのが、「運命の導き」ってのをやたらマジメに描くと、思いっきり「ご都合主義」に見えてしまうってことでしょう。フェイトさんは無敵の存在で(なのはじゃないよ)、障害とか阻害要因を蹴散らしてストーリー構成を決定してしまう。そこらへん、SFならまだしも、ギャルゲならまだしも、「ひとひら」みたいな現実世界に近いストーリーだと、読んでてしらけてしまう。

だからここは、「運命の導き」をできるだけあからさまに見えないように、オブラートに包んで包んで…はいド~ンっ!てカンジでやらないといけないんだと思うんです。具体的には、新キャラを出したり、ギャグを織り交ぜたりして、周囲がドヤドヤしてるなかで、実はそれが結果的に主人公を目的に向かわせるきっかけになる、みたいな。

それにまあ、第2部のはじまり(ちなみに作者は「一区切り」という言葉を使っているだけで、第1部とか2部とかきちんと分けてない。つまり、俺が勝手に言ってますw)だし、これまでちょっぴりしんみりな雰囲気だったんで、ここは明るくといった意味もあって、ちょい明るめのノリにしてるんでしょうね。

第25幕 まずは第一歩

演劇部に入部したいという気持ちはある麦だが、なかなかはじめの一歩が踏み出せない。入部くらい、部室行って入部届け出せば終わりじゃないかって思う人もいるけど、人によってはこれがなかなか難しいんだろうな。

そのようすを見ている甲斐とちとせはどうしてるのか?ここは甲斐の提案で、麦が自分で決意して自分ではじめの一歩を踏みだす必要があるってことで、見守り姿勢を貫く。結果的にではあるが、麦はこの後、一応自分自身で入部の意志を伝えることができた。

第26幕 居心地の悪い場所

演劇部って元々個性的な人が多いと思うんだが(偏見wと少しの経験に基づく感想w) だから入ったばかりで、しかも超内気な麦にとっては居心地が悪くて当然なのかも知れない。だが、もっとも根本的な問題は、麦の「甘え」にあるんだろう。

研究会の居心地のよさは、先輩や仲間の庇護っていうか、暖かい眼差しによって得ていたものであって、フツーの部活で、しかも2年生とあっては、当然、部員は麦を対等の存在として見ることになる。要するに自分の依存癖や甘えが居心地の悪さの原因なんだろう。本当の意味で演劇部員になれるのは、そういったものを払拭できたときなのだろうが、ポイントは、響との関係にありそう。

第27幕 ハプニングはつきもの

ところで、新部長はカワイイですね。たまちゃんと言うのか。なんというか、そのフツーさが。演劇部みたいな個性派集団を束ねていけるのは、意外とこういった個性のない人らしいが。「無個性も個性の一」とか。

新入生歓迎会で演劇をやることになったんだが、そこで主役を演じるちとせが余計なアドリブをかませて劇はめちゃくちゃにw 今回は裏方(音響&照明)見習いみたいなことをやってた麦だが、ハプニング時における裏方の大変さを見てアワアワ。 わたし、裏方もムリかも…って感じになる。

悪いことに、この失態を榊前部長に見られてしまった。激怒した榊先輩は、1ヶ月後に再演し、汚名挽回を命じるのであった

第28幕 後悔しない高校生活

再演についての会議は、時間ばっかり過ぎて何にも決まらないでいた。煮詰まった頭は時に恐ろしいアイデアを生み出すもので、追い詰められた副部長の出した提案は、なんと「再演しない」というものであった。そもそも新入生歓迎会の目的は、部員の勧誘にある。今年はすでに3人入部してるんだから、もうOKなんじゃないの?っていうことで

しかし、その直後新入部員2人が一斉に退部。「再演しない」の理由は脆くも崩壊。やっぱ再演はするしかないのか。

とそのとき、部室を開く音が。現れたのは○○で、入部の意志を伝えにきたのであった。野乃の「後悔しない高校生活」という言葉は、○○にとっても考えさせられる言葉であったんだね

第29幕 好き…なのかなァ…

こういうの…
嬉しいかも…

「かも」じゃなくて十分嬉しがってる甲斐だが、その気持ちはわかりまくるぞ。う~む、麦、やるなあ。

結局再演することになったんだが、問題はその内容。かんたんに言うと、登場人物が多い。普段裏方の人も、なんらかの役を演じる必要がある…となれば、演技経験者で、裏方素人の麦に視線が集まるのはムリもない。この場面での麦、確かに演じるのはイヤなんだが、なんというか、まったくイヤではない…みたいな。そんな表情をしてるんですが、その描写が抜群にうまかったです。必見。

で、ど~すんのよ、麦!?ってことなんだが。

ここでやっぱりやりませんでした。おわり。というハズはなくて、当然、やるんです。しかし、彼女を暖かくそしてやさしくかつ力強く支えてくれる先輩たちはもういない。ここから麦には試練が待ち受けているのでした。


■読み終えて■

第1巻を読み始めたときから、先輩たちが卒業してからが、「真・ひとひら」になるんだろーなと、思ってたのだが。第2部の序章として、4巻の後半、いいカンジだと思います。要するに、「演劇研究会の麦」から「演劇部の麦」へと架橋するところなんだが、問題は主人公が超受動的であるということ。せっかく橋を架けてやっても、渡ろうとしないから困る。そこで彼女の背中を押すキャラが必要になるわけだが、甲斐君や神奈では、残念ながらどうもまだ頼りない。で、「運命の神様」にお願いするというわけです。

序盤、麦を演劇へいざなうのに大きな働きをするのは、ある新キャラです。正確に言うと、全くの新キャラじゃないんですが。各話の感想にもあえて書きませんでしたが、とってもいいキャラです。クッチーみたいなw

ちなみに、本の最後らへんには、桐原いづみ先生からのメッセージがあります。暖かくてとてもいい内容です。必読。

haruhi5.jpgネタバレばっかですんませんw
ミステリーとか絶対書けないだろうな↓
←押していただけると幸いです

[ 2007/06/15 02:31 ] コミックス 情報一覧 | TB(0) | CM(0)

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://putnum.blog84.fc2.com/tb.php/51-e4db44e8


コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する